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抗がん剤が血管から漏れる?  血管外漏出編

抗がん剤は本来血管より投薬します。腕の点滴ルートから、CVポートからなど、投薬する場所が違えど血管に投薬していることは変わりはありません。抗がん剤が血管から漏れることはあるのか?考えただけで怖いですよね。ですが、今回どうして漏れるのか、どのようにしてくづくのか、対処法をまとめますので、何かあった際に役立てば良いなと思います。よければご覧ください。

≪はたして抗がん剤が血管に漏れ出ることはあるのか?≫

イメージしてみて下さい。点滴を行うときに、血管から薬液が漏れてしまい、腫れてしまった、痛かった、赤みや熱感があったなど経験したことがある方はいるでしょう。全く同じ原理です。腕からの投薬より、CVポートからの投薬の方が断然漏れるリスクは低くなります。しかし、私の看護師経験の中でCVポートから抗がん剤が漏れてしまった方がいました。可能性は低いですが、必ずないとは言えないのです。

それではまとめていきますね。

≪血管外漏出について≫

血管外漏出(けっかんがいろうしゅつ)とは、血管の中から皮下に漏れることを言います。普通の点滴薬が漏れると、針の入っているところの周囲が腫れたり、痛かったり、熱を持ったりします。これも血管外漏出です。しかし抗がん剤が漏れると、他にもとっても怖い副作用を起こす可能性があるので知っておく必要があります。

抗がん剤が血管の外に漏れると、皮膚や組織に潰瘍・壊死(壊れること)を起こし、皮膚の機能を障害します。そのため日常生活に支障をきたします。では血管外漏出において、何が大切かというと予防・異常の早期発見です。

≪血管外漏出の原因≫

・血管が細い、弱くなっている

・点滴を入れてる部位(関節付近や利き手など)

・固定が不十分

・カテーテルやポートの破損

・カテーテルの詰まり(血栓ができたなど、先端が折れ曲がっているなど)

・薬剤の濃度

≪予防・早期発見のために≫

血管外漏出のリスクがあることを念頭に置いておきましょう。針の入っている場所や周囲に違和感・痛み・赤み・かゆみなどの異変を感じたら、すぐに看護師へ報告しましょう。在宅で治療中の場合は、すぐにかかりつけ病院へ連絡し相談してください。

その際は、写真を撮っておくと良いです。

≪血管外漏出した部位の治療≫

記載内容は、医療機関での対応です。一例のため、必ず同じ対応とは限りませんのでご了承ください。

抗がん剤が血管から漏れていることが疑わしい場合、針を抜く前に注射器を用いて血液を吸引しできる限り薬剤を除去します。針を抜いたのち、保冷材で冷やします。薬剤によっては、温めることが適応になる場合もあります。

ステロイドと局所麻酔薬を皮膚の中に注射をすることや、ステロイドの塗り薬を塗ることなどもあります。

≪病院で処置を受けた後の注意≫

詳細は病院で説明があると思いますが、念のために記載しますね。

数日後にも悪化する可能性があります。薬剤の漏れた部位の観察をしっかり行ってください。痛み、腫れ、赤み、水ぶくれなどの皮膚の状態の悪化がみられたら、病院に連絡しましょう。

                             参考文献:『がん化学療法看護 はじめの一歩』

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≪最後に≫

最後に私の看護師経験でのお話を記載します。とても稀な経験だと思っていますが、CVポート抗がん剤の薬液が漏れた経験をしている患者さんを、一名だけ受け持たせて頂いたことがあります。その患者さんは、外来抗がん剤治療を行っており、フルオロウラシル(5-FU)を在宅で投薬中に漏れてしまったそうです。治療は上記のように行い、幸い無事に治癒しました。本当に怖い思いをしたのは、その後でした。不安が強くなってしまい、次回からは入院で抗がん剤治療を行うようになりました。

入院中の抗がん剤投薬は順調で特に異常はみられなかったのですが、PTSDのようになってしまい落ち着くことが困難になりました。数値的には異常はみられなくても、動悸がしたり呼吸苦がしたり、今までなかった症状を訴えられていました。見ていることも辛く感じてしまう状態でした。そんな経験があるので、恐怖を植え付けたいのではなく、正しい知識を持ち、異常があればいち早く対処することをお伝えしたいと思い今回まとめました。誰かの役に立つ内容であれば、幸いです。知識があれば、きっと大丈夫です。

≪まとめ≫

・血管外漏出は、早期発見し医療機関に相談しましょう

・痛みや腫れ、赤みなど症状はさまざまありますが、まずは異変があれば伝えることが大切です

・CVポートからも稀ですが、血管外漏出を起こす可能性はあります

今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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